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「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」は単純なラブコメではない!

 

 

「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」

を読了しました!これまで読んできたライトノベルは比較的主人公が若く、少年や青年が主人公だったりする作品が多かったので、思考を変えてサラリーマンが主人公として描かれている作品を手に取ってみました。以下に感想をまとめますが、ネタバレを含みますのでご注意ください!

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1.作品情報

著者:しめさば

イラスト:ぶーた

レーベル:角川スニーカー文庫

出版社:KADOKAWA

あらすじ

 

5年間片思いした相手にバッサリフラれたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道、路上に蹲る女子高生を見つけてー「ヤらせてあげるから泊めて」「そういうことを冗談でも言うんじゃねえ」「じゃあタダで泊めて」なし崩し的に始まった、少女・沙優との同居生活。『おはよう』『味噌汁美味しい?』『遅ぉいぃぃぃぃぃ』『元気出た?』『一緒に寝よ』『早く帰って来て』家出JKと26歳サラリーマン。微妙な距離の2人が紡ぐ、日常ラブコメディ。

「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」裏表紙より引用

2.感想

2.1.よかった点

 

2.1.1.人の心情に深く触れている

 本作品は居候JKとサラリーマンの単純なラブコメではない。今まで体を売ることで自身の価値、即ち居候相手へのメリットを作り、引き換えに居候してきた女子高校生の沙優が出会った、体を求めないことはおろか無条件で優しくしてくるサラリーマンの吉田とのストーリー。これまで出会ってきた人たちとは明らかに違う人に「どうして優しくしてくれるのか」という疑問が消えない。相手にとって自分は都合の良い存在でいないと居続けさせてくれないという思想から生まれる現状の不安。そんな複雑な彼女の感情が描かれている。また、そんな不安を抱きながらも吉田さんとお互いを理解しあっていく恋愛とは違った物語も描かれている。

 「相手にとって自分が良い相手ではないといけない」という考えや吉田の「なんで優しくしちゃいけないんだよ」という気持ちは分かるところがあり、読んでいて自然と頷いてしまった。

 

2.1.2.“ぶーた”さんのイラストがシンプルすぎる...けどそこがいい!

 本作の挿絵を見るとほとんどがキャラを中央に置き、背景の情報が少ない非常にシンプルな絵が多いと感じたと同時に、「あれ?このイラスト見たことあるぞ?」と引っかかりました。うんぬんと記憶を巡っていると最近2巻目が出版された“Hello, Hello and Hello”に辿り着き、この作品のイラストもシンプルなのかと思い出し泣きを堪えながら確認するとそうでした!

 個人的には“ぶーた”さんのイラストはそのキャラクターの感情をダイレクトに伝えてくれるところが好きで、シンプルだからこそキャラクターが持つ魅力がしっかり伝わってくるだとおもいます。

 

2.2.いまひとつな点

 改善点がなかなか見つからない...。というものの、年の差ラブコメと思って購入したのに思った以上にキャラクターの気持ちが深く描かれている作品で、今までこのようなジャンルの作品を見てこなかったから改善点が見つからず、全て新しいと感じてしまった。数多くの作品を読んで再度評価したいです。

 

3.周りの声

 やはり、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」という作品名から漂っている犯罪臭を懸念していた人もいたようですが、実際に読んでみるとその懸念は払拭されたようで、高評価をつけている人が多い印象です。また、主人公がサラリーマンという珍しさも感じている人もいました。本作はラブコメとしてジャンル分けされており、その要素ももちろん含んでいるが、居候JKの沙優の成長物語とも読むこともできるとあった。確かにそうだなと感じました。

 

4.まとめ

 今までとは違った作品を読みたいと思って手にした作品でしたが、単純に良い作品としても出会えてよかったと思います。また、素直な「ラブコメ」というジャンルに当てはまる作品でもなく、サラリーマンとJKの話なのに何故か青春ストーリーを読んでいるような。吉田との出会いから始まる沙優の成長物語を読んでいるような。そんな感覚がありました。心理描写が上手という面で言えば、「俺の青春ラブコメはまちがっている。」似ているのかもしれません。

 なので、「人の感情が深く描かれた作品が好きな方」におすすめです!2巻目も発売されており、もう読了しているのですが、その評価は次に。

 【ブログ Vol.2】